ニューイヤー駅伝として定着した全日本実業団対抗駅伝は16年1月1日、前橋市の群馬県庁前を発着点とする7区間(100キロ)で行われる。本大会で3度の区間賞を誇る宮脇千博(24)がトヨタ自動車の連覇の鍵を握る。

 宮脇は1万メートルのチーム最高記録保持者(27分41秒57)で、2012年のニューイヤー駅伝では3区、翌年は1区、さらに14年には4区と3年連続で区間賞を獲得したチームのエースだ。しかし今年7月に仙骨(腰)を疲労骨折。夏にマラソンを1回走り、冬のリオ五輪選考レースにつなげるプランが崩れた。11月に復帰したが1万メートルで28分55秒36と自己記録に1分以上の差があった。「昨年もケガをして、こんな苦しい年はないなと思いましたが、今年はそれ以上に苦しいシーズンでした。やろうと思っていたことが、何もできなかった」と話す。しかし12月に入ってようやく復調。練習でもチームのトップで走り、「やっと手応えの感じられる走りができるようになった」と、明るい表情を見せている。

 宮脇が実力を発揮できればトヨタ自動車の連覇は現実味を帯びる。前回大会で新人ながらエース区間の4区でトップ集団に追いついた窪田忍(24)は、圧勝した中部予選3区で区間2位に1分24秒の大差をつける快走を見せて好調を示した。この冬には駒大3年時以来のマラソン出場も視野に入れる。また大石港与(27)早川翼(25)の2人が前回宮脇、窪田が走った3区、4区を任せられるほどに成長している。主将でもある大石は「1年前も4区を走る心の準備はできていましたが、今季は体の準備もできている」と各チームのエースが走る最長区間(22・0キロ)への意欲を見せる。

 トヨタ自動車は中部予選に毎年A、Bの2チームを参加させている(Bチームはオープン参加で勝敗とは無関係)。今年は前回のニューイヤー駅伝優勝メンバーのうち宮脇ら3人がBチームに回ったほど選手層が厚く、総合力では他チームの脅威となることは間違いない。その中核となるエース宮脇は「“宮脇復活の第一歩”と言われる走りをしたい」と意気込む。

 今回60回目を迎えるニューイヤー駅伝の長い歴史の中で2連覇以上を達成したチームは5チームだけ。トヨタが6チーム目の偉業を達成できるかどうかは宮脇の走りに懸かっている。