13日に号砲が鳴る名古屋ウィメンズマラソン。リオデジャネイロ五輪女子マラソン代表選考最後のレースは多くの有力選手を集めて注目が高いが、11日に名古屋市内で開かれた招待選手による会見では、若さが「引っ張る」形となった。岩出玲亜、21歳。地元の豊川高卒業後にノーリツに入社し、初マラソンだった14年横浜国際で10代最高記録となる2時間27分21秒を樹立した新鋭だ。

 気合の表れにもみてとれるばっちりメークで、ひときわテンションが高そうに見えたのも無理はない。壇上で同席したのは同郷、三重県出身でアテネ五輪金メダリストの野口みずき(37)だった。「マラソンの原点になったのが野口みずきさん。一緒に走れる。それが楽しみです!」とはつらつと答えた。その姿に16歳年上の野口も「うれしいですね。昨年のナショナルチームの合宿で一緒に練習して、ガッツあるなと思ってました。いつか一緒にレースで走りたいと思っていたので、うれしいですね」。優しい表情で返すと、岩出は「照れます、すごくうれしいです」と喜びに声を張った。

 さらに、それだけで終わらない。次なる「ターゲット」はロンドン五輪代表で、今大会の優勝候補の木崎良子(30)。レース展開を聞かれた質問に切り返したのは、「ペースメーカーが離れてからが勝負。木崎さんのラストスパートに置いていかれないように頑張ります」ときっぱりと答えた。物おじしない名指しに会場がざわめくと、少し照れたように笑ったが、並みいる諸先輩に混じっても堂々とした言動に、気持ちの強さを感じさせること十分。

 ベテラン勢に挑む若手選手という構図で見ても、大いに楽しめるリオ五輪選考レースとなりそうだ。

 ◆岩出玲亜(いわで・れいあ)1994年(平6)12月8日、三重県津市生まれ。津市立一志中3年時に全国中学駅伝で2区を走り区間7位でチームも7位。愛知・豊川高3年時の全国高校駅伝で1区を走り5位でチームは準優勝。社会人1年目の13年12月に初挑戦のハーフマラソンで1時間9分45秒の日本ジュニア記録を樹立。伯父は帝京大ラグビー部の岩出雅之監督。