08年北京パラリンピックの銀メダリスト、山本篤(34=スズキ浜松AC)が6メートル56の世界新記録を樹立した。

 4本目で世界記録を3センチ更新する大ジャンプを披露。測定中の段階から「(記録が)いっただろう!!」と叫んでいた。山本は「純粋にうれしいです。天候や風などの条件が合えば、必ず出ると思っていた。お客さんや会場の雰囲気、報道陣の数も多く、アドレナリンが出まくったね」と振り返った。

 隣のレーンでは、中西麻耶が5メートル51のアジア新記録を出したばかりだった。山本は2本目の跳躍で左腰を痛めたが、「今日は出せる」という雰囲気があり、強行出場した。「中西選手の活躍もカンフル剤になったね。互いに義足選手として世界を目指してやっている。2人とも記録が出たし、鳥取は最高だね」と笑みを見せた。

 山本は走り幅跳びの練習を一切しないのが特徴で、本番前の練習しかしない。「けがが怖い」という理由で、短距離が早くなれば、幅跳びの記録はさらに伸びると考える。次の目標は6メートル80と設定したが、「リオ大会では記録より金メダル。勝つことにこだわりたい。金はだいぶ近くなったと思う」。山本の進化が止まらない。