陸上のIAAF(国際陸連)ワールドチャレンジ第3戦「セイコーゴールデングランプリ陸上2016川崎」が8日、等々力陸上競技場で開催される。世界から集結するトップアスリートに挑む日本の6選手を紹介する。第3回は男子やり投げに出場予定の新井涼平(24=スズキ浜松AC)。日本記録(87メートル60)を大幅に超える90メートルを視野に入れる期待の星だ。

 衝撃の一撃への準備は整った。2年ぶり4度目の等々力の舞台を前にした新井は、「ベスト(自己記録)を狙えないことはない。狙って出せるのが一番良い。リオで90メートル以上投げればメダルもみえてくる。なくはない」と言い切る。自己記録は14年秋の86メートル83。22歳で出した日本記録まで1メートルを切る一投で一躍次代の星として注目を集めたが、五輪年の今年はさらに視線を上に向ける。

 昨年の世界選手権では、入賞で内定だった8位と6センチ差の9位に終わった。わずかな差は、世界の頂点に駆け上るための悔しさに変えて、オフは体作りに励んできた。昨年9月にフィンランドで技術的な指導を受けて以降は、「全体的なパワーアップを」と、温暖な沖縄を拠点に筋力向上。学生時代に負った腰痛などの再発を懸念して避けていた下半身の強化も取り入れ、ベンチプレス190キロを上げるほどにもなった新たな筋肉のよろいは、「絶対に飛距離は伸びる」と自信作となった。

 アジア人でこれまで90メートル超えを果たした選手はいない。14年に趙慶剛(中国)が出した89メートル15を上回って大台に突入すれば、陸上界の歴史に名を刻むことになる。埼玉・皆野高に進学した07年の世界選手権で、金メダリストになったピトカマキ(フィンランド)の投てきを見て競技を始めてから9年。「自分のなかでとても大きな大会。日本国内にある国際大会なので、とても貴重な経験ができる試合」と重視する舞台でブラジルへの軌跡を描く。【阿部健吾】

 ◆新井涼平(あらい・りょうへい)1991年(平3)6月23日、埼玉県生まれ。皆野高1年で競技を始めて、国士舘大を経て、14年4月からスズキ浜松AC。14年仁川アジア大会銀メダル。183センチ、92キロ。