正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝(2、3日)を、日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーで横浜DeNAランニングクラブ総監督の瀬古利彦氏(61)が徹底解説。「3強」の争いを予想しながらも、神奈川大が4連覇を狙う青学大を止めると大胆予想した。

 今年も大会としての見どころは「どこが青学大を倒すか」だよ。出雲駅伝優勝の東海大に全日本大学駅伝で勝った神奈川大。3校の争いになるのは間違いないけれど、1番手は神奈川大かな。鈴木健吾というすごい選手がいるから往路で圧勝する可能性が強い。そのまま優勝もありうるよ。

 今年は例年に比べ全体のレベルが高くない。神奈川大についていくために往路に好選手を並べると、復路での逆転が難しくなる。どこも復路にエース級を残しておく余裕はないよ。往路を制したチームの総合優勝が濃厚だね。本命の神奈川大を追うのは、鬼塚翔太、関颯人らイケメンぞろいの東海大じゃないかな。

 イケメン、っていうのは大事。ドラマ「陸王」の影響もあるのか、今は若い女性ファンが多い。福岡(国際マラソン)で大迫が競技場に入ってきた時の「キャーッ」はすごかったから。私の頃は年配ばかり。おじさんの声で「瀬古、がんばれ!」だからね。そりゃ、野太い声より嬌声(きょうせい)の方が選手のモチベーションは上がる。「頑張ろう」って思うでしょ。

 「箱根は(選手の)ゴールじゃない」と言ってきたけれど、大迫のように箱根出身の選手が活躍したのは大きい。箱根駅伝を作った金栗四三さんが一番喜んでいると思うし、2番目に喜んでいるのはマラソンリーダーの私なんだ。ここから20年東京、24年パリのマラソン代表誕生を期待したいし、ファンもそういう目で応援してほしいね。(日刊スポーツ評論家)