優勝候補に挙げられていた東海大は往路9位から、5位まで順位を上げ、意地を見せた。6区の中島怜利(2年)が区間2位の走りで5位まで押し上げ、反攻の流れを作った。

 中島は「20年で一番輝いていた日でした。流れをリセットして、気持ちを入れ直せた」と笑顔で話した。

 自他ともに認める「箱根駅伝マニア」。実家は兵庫・姫路市ながら、中学1年から高校3年まで6年間、正月は箱根駅伝観戦に来ていた。ディズニーランドやスカイツリーなど東京観光には興味を示さず、箱根駅伝を観戦するだけの旅行だった。5区と6区の最高点、標高874メートルの場所で見るのが定番だったという。そんな憧れの舞台。前回大会に続いて任された6区で、4人抜きの快走を見せた。

 東海大は将来性を伸ばすためスピード重視の育成方針を掲げる。その中で中島は長距離に自らの特性を見いだす。チームではメニューにない40キロ走などを積極的にこなすため、昨夏は実業団のSGホールディングスの合宿に参加。将来はマラソン選手を志す男は“出稽古”をして、スタミナを磨いた。

 昨年は後半に失速し、区間8位と爪痕を残せなかったが、今年は確かな成長を示した。スピードにたけた選手が多い東海大。その中で自分を貫き、来年はさらに強くなり、戻ってくる。