陸上男子短距離の桐生祥秀(22=日本生命)は日本選手権では自身初めてとなる100メートルと200メートルの2種目に挑戦する。

 開幕を翌日に控えた21日、会場の山口・維新みらいふスタジアムで調整。力を抜いて走る200メートルは本職の100メートルにも生きると考える。スタートの確認に重点を置いた桐生は「自分の走りをすれば、またベストタイムが出るかなと思います」と意気込んだ。100メートルは9秒98、200メートルは20秒41。自己記録を更新すれば、自然と順位は付いてくる。体への負担は大きくなるが「疲労をためず、その中でもいいタイムで走れればいい」と語った。

 手応えもある。今季の100メートル最高は10秒15だが、記録右肩上がりだ。「1試合ごとにタイムは上がっている。それ(10秒15)以上で走れる自信はある」と言う。

 中国の謝震業が19日、自身の自己記録を0秒01更新する9秒97を出した。「海外、アジアの中でも9秒台の選手がどんどん出てくると思う」と分析する。自分が10秒の壁を越えたのは、まだ1回。満足などしていない。「大きい大会で何回も(9秒台を)出していくことで、自己ベストが上の選手と走っても勝てる自信を付けていきたい」と語る。山県、サニブラウン、ケンブリッジ、多田、飯塚ら国内のライバルと違い、桐生だけが五輪、世界選手権での準決勝進出の経験がない。日本最高峰の舞台で、世界へ羽ばたく糸口をつかみたい。