IAAF(国際陸上競技連盟)ワールドチャレンジ第3戦「セイコー・ゴールデングランプリ大阪」(日刊スポーツ新聞社共催)が19日、ヤンマースタジアム長居で開催される。ニッカンスポーツ・コムでは今回から世界から集結するトップアスリートに挑む日本の5選手を紹介。第4回は男子やり投げの新井涼平(27=スズキ浜松AC)。16年リオデジャネイロ五輪の予選は全体4位で決勝に進んだ男も過去2年は、首などのけがに苦しんだ。悩み続けた痛みを消す契機となったのは歯の治療。今季は万全の状態へと戻り、日本歴代2位となる自己記録86 メートル 83の更新も見据える。

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新井は「地獄」という、けがとの闘いを脱した経緯をこう振り返る。

「本当にびっくりするような話なんですけど」。

17年冬に首を痛め、その影響で、春から左腕はまひし続けていた。指先は熱湯の熱さも感じず、練習でやりは「1週間に1本投げられたらいいぐらい」。寝る時でさえも痛みが走った。はり治療、整体など病院を何カ所も回ったが、回復の兆しは一切なかった。

どん底だった同年9月。コーチの「可能性の1%があるならやろう」との言葉を受け、福岡市内にある歯科クリニックへ向かった。そこでは体重計に乗って体のバランスを測定、また指で輪を作り、力の入り方もチェック。一般的な歯科医院のイメージとはかけ離れた診療の後、歯をわずかに削った。かみ合わせを調整。すると「痛みで首が動かない状況で行ったのに、治療をした後は全部動くようになったんです」。何をやっても効果がなかったのがうそのように、光が見えた。

それから他の治療も平行しながら、再度、かみ合わせを治した。ついに18年夏に体の痛みは消える。オフに十分練習できなかったことが響き、昨季の最高は80 メートル 83だったが、今季は冬から体をしっかり鍛え、準備を整えた。3月の記録会では82 メートル 03、4月のアジア選手権は81 メートル 93で銅メダル。本来の力が戻りつつある。

セイコーGGPへ向けては、83 メートル 00の今秋の世界選手権(ドーハ)の参加標準記録は「最低目標」と位置付ける。視線は20年東京五輪の参加標準記録(85 メートル 00)に向く。「そこを投げられれば」。雌伏の時を経て、世界と争える一撃で復活を告げる。【上田悠太】

◆新井涼平(あらい・りょうへい)1991年(平3)6月23日、埼玉県生まれ。皆野高1年で競技を始めて、国士舘大を経て、14年4月からスズキ浜松AC。同年仁川アジア大会銀メダル。世界選手権は15年北京大会9位、17年ロンドン大会予選落ち。リオ五輪は11位。日本選手権は5連覇中。けがのリハビリ中に始めた釣りが趣味。最大の大物は「東京湾で釣ったカツオ」。183 センチ 、97 キロ 。