箱根駅伝復路。往路優勝の青学大がリードを守って2年ぶり5度目の総合優勝を果たした。10時間45分23秒の大会新記録で快勝。連覇を狙った東海大は逆転ならず3分02秒差の2位だった。

 

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原監督のすごさが際立ったレースだった。驚いたのは2区に1年生の岸本を起用したこと。いくら調子が良くても、ルーキーを他校のエースと走らせるのは思い切りがいる。それを大胆にやってのけ、結果も出させる。2区を走れなかった上級生は「なにくそ」と燃える。選手の適性を見抜いてやる気を出させ、調子の波を箱根に合わせることも巧み。「箱根の勝ち方」を誰よりも知っている。

レース後、原監督は真っ先に高校の指導者に感謝した。そう言われれば、うれしいもの。「選手を青学大に行かせたい」と思うだろう。常に謙虚。なかなか、できるものじゃない。選手はもちろん、誰に対しても接し方がうまい。サラリーマン生活で培った営業能力がここでも生きている。

往路、復路とも新記録の東海大は、優勝してもおかしくなかった。青学大が強すぎたんだ。強豪校だけでなく全体のレベルが上がって、力を出せない選手が1人でもいると5強と言われた駒大や東洋大のように順位を落とす。今大会ピカ一だった東洋大の相沢を始め、青学大の岸本、駒大の田沢ら楽しみな選手も出てきた。五輪イヤーの幕開けにふさわしいレースだった。(84年ロサンゼルス、88年ソウル五輪代表)