「女子マラソン」で男子のペースメーカー(PM)が最後まで走り抜いた。先頭集団を先導した実力者の川内優輝(33=あいおいニッセイ同和損保)も、ひそかに完走した。

一山がゴールをした約45秒後。できるだけテレビにも映らないよう、トラック外側をゆっくり走り、フィニッシュラインを越えた。大会順位には残らないが、2時間21分58秒の記録は公認される。これで108回のフルマラソン完走となった。さまざまな経験を持つ川内だが、ペースメーカーとしてフルマラソンを走り抜いたのは、さすがに初めて。

もともと契約は40キロまで。ただ、一山が少しでも好記録を出せるよう、残り約350メートル地点のヤンマースタジアム長居に入る直前まで、前を走り続けた。一般的にPMは事前に決められた距離を迎えると、そこで走り終える。ただ、予定の距離を過ぎて先導することはルール上、問題ない。五輪や世界選手権などの切符が懸かる場合は、勝負に影響を与えるため“タブー”だが、今回は違う。代表選考会でなく、好タイムを出すことを最たる目的とした大会であるため、誕生したシーンだった。

PMとして、同走した岩田勇治(三菱重工)とともに、中盤まで機械のように日本新を狙えるタイムを刻み、役目を果たした。一山が苦しくなると、設定タイムより下げ、臨機応変に対応。「行けるよ」「頑張れ」などと効果的な声もかけ続け、励ました。川内は「一山選手が粘ってくれて、最後はペースを戻してくれるような走りをしてくれた。ペースメーカーとして日本記録にはならなかったが、よかった」とコメントした。