第98回東京箱根間往復大学駅伝(来年1月2、3日)で、11年ぶりの頂点を狙う早大に「山の申し子」が現れた。

19日に埼玉・所沢キャンパスで合同取材会を開催。総合優勝への鍵は「山登りの5区」だが、実力ある上級生とともに1年生の伊藤大志(佐久長聖)が候補となっている。

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前回は区間19位に沈むなど早大の5区は3年連続2ケタ順位と苦戦。そんな中、伊藤は「僕の持ち味が一番生かせるのは、アップダウンのあるコース。他の人に比べて上り下りの苦手意識が少ない」と自信を持つ。

地元長野・駒ケ根市は山に囲まれ、起伏に富んだ地形。「長い距離で練習したいとなると、おのずとどこかを上って、どこかを下らないと家に帰れない」。日本百名山の駒ケ岳も“練習場”。自宅から走って10分ほどの森に入り、登山道や遊歩道を駆け抜けていた。佐久長聖高でも毎日のように名物のクロスカントリーコースで練習を積んだ、まさに「山の申し子」だ。

偉大な先輩との縁もある。早大進学を悩んでいた高校2年の3月。OBの大迫傑氏が、ふらりと寮にやってきた。監督を介して相談すると、シンプルで力強い助言をもらった。「一番大事にすべきなのは、自分が大学で何をすべきなのか、何を重要視するのか」。簡単に出身校の早大をプッシュするわけではない、その考え方と説得力が進学の決め手になった。

早大が箱根路で頂点に立ったのは、大迫氏が1区を区間1位で快走した11年が最後。「総合優勝という目標を掲げているので、できるだけ貢献できる走りをしたい」。大先輩の系譜を継ぐ「山の申し子」が「山の神」になるか。【磯綾乃】

◆伊藤大志(いとう・たいし)2003年(平15)2月2日生まれ、長野県出身。佐久長聖高3年時に、5000メートルで当時高校歴代2位の13分36秒57をマーク。早大ではスポーツ科学部に所属し、今年は出雲駅伝5区12位、全日本大学駅伝1区7位。170センチ、52キロ。