陸上短距離の女王、福島千里(33=セイコー)が29日、現役引退を発表した。

08年北京から3大会連続オリンピック(五輪)出場、100メートル、200メートルの日本記録を持つスプリンターは同日、東京都内で会見。今後はセイコースマイルアンバサダーとして、後進の育成、指導などにあたる。福島との一問一答は以下の通り

 

-引退を決意したタイミングはいつですか

福島 「目指していた東京オリンピックが終わったタイミングです。ここ数年はケガもあって、やりたい練習よりもやれる練習を選択することが多くなった。正直なところ、そういうこともあります」

-引退を決めた瞬間というのはありましたか

福島 「(昨年9月の)全日本実業団が終わってからです。そこを最後にする可能性はあると思っていましたが、引退を決めてしまうと寂しくてレースにならなくなる。最後まで勝負に徹したいという思いがあったので、レースが終わってから決断しました」

-一番思い出に残っているレースは何ですか

福島 「初めて出場した北京オリンピックです。私の原点になっています。同じ北京で15年に行われた世界選手権は、それまで積み重ねてきた経験が生きました。予選ではありましたが目指していた走りができ、世界と戦えたと思います」

-記録や成績で胸を張れるものはありますか

福島 「恥ずかしいですけれど、北京(五輪代表)に選んでいただいてから、世界に挑戦し続けてきました。目標を達成した瞬間はなかったかもしれないですが、1つ1つ小さな目標をクリアして成長し、それを感じることができた。工夫し、挑戦し、世界大会や五輪に1度だけでなく出られた瞬間は、成長を感じることができました」

-世界のファイナリストを意識した瞬間はありますか

福島 「正直、なかなか手ごたえを感じられるものではありませんでした。予選を通過して準決勝止まりだったことには、たくさんの反省があります。予選を通過する目標では準決勝で何もできなかった。決勝がまだまだ遠いなと感じるシーンもたくさんありました」

-ケガもあって苦しんだ最後の数年間への思いは

福島 「東京五輪を目指すために環境を変えたり、様々な挑戦をしてきました。何とかしてもう1回、速く走るために頑張ってこれたと思っています。苦しいシーズンでしたが、あきらめるという気持ちがなかったから続けてこられたと思います」

-最後に、あらためて今の気持ちは

福島 「小学校4年から陸上をはじめ、23年になりました。両親をはじめ、支えてくれた方の名前をあげたらきりがない。感謝の気持ちでいっぱいです。夢だったオリンピックに出場することができ、いろいろなことに挑戦できた。幸せな競技人生でした」