東京五輪7位入賞(31分00秒71)の広中璃梨佳(21=日本郵政グループ)が今季初戦を制し、7月に行われるオレゴン世界選手権への出場を決めた。31分30秒34の記録で大会2連覇となった。

参加標準記録(女子31分25秒00)の突破者で、3位以内に入った選手は代表に即時内定する中、五輪入賞者の実力を発揮した。

五島莉乃(資生堂)が序盤から先頭に立ち、最初の1000メートルを3分7秒というハイペースでレースを引っ張る中、赤いキャップ帽の広中はその後方に付いた。

4000メートルをすぎると、オープン参加のカマウ・タビタジェリ(三井住友海上)が先頭に立つと、そのまま加速して独走態勢に入った。広中はそれを追わず、日本勢での3位以内という実を取った。

広中は7000メートルをすぎると日本選手のトップに立ち、萩谷楓(エディオン)が続いた。トレードマークの帽子を投げ捨てると、場内からどよめきが起きた。萩谷とのデッドヒート。気持ちのこもったレースを披露し、ラスト1周から圧倒的なスピードで振り切りゴールした。

今季は体調不良に悩まされた。1カ月前に貧血を発症し、本格的な練習再開は2週暗前だった。それでも第1人者の貫録を見せつける走り。「周りの人に支えられ、スタートラインに立てたのが良かった」と笑顔で話した。

参加標準記録を突破している五島も3位に入り、世界選手権の代表に内定した。

また、広中のライバルと目された日本歴代2位の30分45秒21を持つ不破聖衣来(19=拓大)は、股関節周りの右梨状筋故障による調整不足を理由に欠場した。1月の都道府県対抗女子駅伝後に、右アキレス腱(けん)周囲炎により3月末まで歩行もままならない状態で、4月17日の日本学生個人選手権は5000メートルに出場したが最下位だった。

◆世界選手権の代表選考 日本選手権1万メートルで3位以上の成績を残すことが絶対条件。参加標準記録は男子が27分28秒00で、女子が31分25秒00で有効期限は20年12月27日から22年6月26日。内定における優先順位は(1)日本選手権の順位(2)参加標準記録の突破(3)22年度に開催される国内主要競技会の成績の順となる。