<陸上:世界選手権>◇第7日◇25日(日本時間26日)◇ハンガリー・ブダペスト◇女子やり投げ決勝

陸上女子やり投げで世界ランキング1位の北口榛花(25=JAL)が25日、ブダペストで行われた世界選手権決勝66メートル73をマークして日本女子のフィールド種目で初となる金メダルを獲得した。前回の銅に続く2大会連続メダルは日本女子で史上初。日本陸連が定めた24年パリ五輪の選考基準を満たし、2大会連続の五輪代表に内定。陸上ではパリ五輪内定“第1号”となった。高校時代を取材した記者が北口のルールをひもといた。

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北海道内屈指の進学校の旭川東高に通った北口は、文武両道な学生だった。3歳から競泳、小学1年でバドミントンに打ち込んだ。バドミントンでは小学6年時に全国大会団体で優勝。まさか高校に入学して陸上部に誘われるとは思っておらず、競泳との二刀流。当初は「水泳の練習に行けなくなったらどうしよう」と心配するくらいだったが、どんどん陸上の世界にのめり込んだ。

母規子さんは元バスケットボール選手で共同石油(現ENEOS)に所属していた。母譲りの恵まれたフィジカルは金メダル獲得の大きな武器となったが、実は悩みの1つだった。小学生の時から「ずっと背の順で一番後ろだった」。小学6年で170センチ、中学3年で175センチ、高校で178センチ、現在179センチ。ちょっぴり嫌そうな顔で「スーパーでもじろじろ見られるし、レストランで『たばこは吸いますか』って聞かれたり」と、恥ずかしそうに話していた。

母がプレーし、自分のように長身の選手が多い女子バスケットボール観戦は大好きだ。フェースタオルは黄色と緑色のENEOSのタオルを愛用。やり投げのフォームを確認する時、悔し涙を流して顔を押し込んだ時、汗を拭う時、いつも手元にあった。

高校時代、やり投げの魅力をこう語っていた。「投てき種目の中で一番遠くに飛ぶから」。世界舞台で誰よりもやりを遠くに飛ばし、胸に金メダルを輝かせていた。【保坂果那】