国内のトラック&フィールド競技会は一連のロンドン五輪選考が行われているが、その前半戦の山場を迎える。

 静岡国際は男子トラックに、五輪A標準突破者が複数エントリーしている種目が多い。高平慎士(27=富士通)、齋藤仁志(25=サンメッセ)らの出場する200メートル、岸本鷹幸(21=法大4年)、今関雄太(24=千葉陸協)らの400メートルハードル。標準記録未突破だが、400メートルハードルには4回目の五輪出場を目指す為末大(33=chaski)も参戦する。

 女子やり投げには海老原有希(26=スズキ浜松AC)と宮下梨沙(28=大体大TC)が参加。2人とも五輪B標準を突破している。これらの種目は日本選手権前哨戦の様相を呈する。

 ゴールデングランプリ川崎が、日本選手権前では最後の五輪選考競技会。国際陸連主催のワールドチャレンジミーティング第3戦にも指定され、世界のトップ選手も多数参加する。日本のトップ選手同士の争いだけでなく、日本選手が世界とどう戦うかも見どころ。2つの視点で楽しめる大会だ。

 注目されるのが女子100メートルの福島千里(23=北海道ハイテクAC)だ。自身の持つ日本記録(11秒21)更新が期待される。3月の世界室内60メートルでは室内日本記録を0・11秒更新。11秒1台が出ても不思議ではない。この種目にはアリソン・フェリックス(26=アメリカ)とイベット・ラロバ(27=ブルガリア)、2人の世界的なスプリンターも出場する。福島のスタートダッシュがどこまで通用するか。

 男子やり投げの村上幸史(32=スズキ浜松AC)は09年世界陸上銅メダリスト。アンティ・ルースカネン(28=フィンランド)ら記録で村上を上回る選手が3人出場するが、目標の「85メートル以上」を出せば優勝できる。ロンドン五輪へ弾みがつくだろう。

 外国勢では中国の生んだスーパースター、男子110メートルハードル前世界記録保持者の劉翔(中国)が来日。男子100メートルのキム・コリンズ(36=セントキッツネービス)、3000メートル障害のブリミンキプロプ・キプルト(26=ケニア)、女子400メートルのアマントル・モントショー(28=ボツワナ)ら、昨年の世界陸上メダリストたちとともに世界トップレベルのパフォーマンスを見せてくれるだろう。

 長距離ファンは5月前半も、トラックとロードレースの両方を楽しめる。

 ゴールデンゲームズinのべおか男子1万メートルには北京五輪代表だった竹澤健介(25=エスビー食品)や、箱根駅伝で活躍した柏原竜二(22=富士通)、大迫傑(20=早大3年)、窪田忍(20=駒大3年)らがエントリーした。竹澤と大迫には五輪A標準(27分45秒00)突破の期待がかかる。実業団デビュー戦の兵庫リレーカーニバルで不調だった柏原はB標準(28分05秒00)が目標か。

 関東インカレ第1週には男子1部1万メートルが実施される。最終エントリーはまだだが、村沢明伸(21=東海大4年)や設楽啓太(20=東洋大3年)らの、箱根駅伝を走った選手たちがトラックに場所を移して対決する。設楽は4月に28分15秒90と柏原の持っていた東洋大記録を更新。ロンドン五輪を目指す村沢も楽には勝てない。

 仙台国際ハーフマラソンにはロンドン五輪マラソン代表の藤原新(30=東京陸協)と、公務員ランナーの川内優輝(25=埼玉県庁)が出場する。藤原は1時間2分台が出せたら順調といえそうだ。

 女子で野口みずき(33=シスメックス)も招待された。名古屋ウィメンズマラソンで4年4カ月ぶりのマラソン復帰。2カ月後のハーフマラソンでどこまで走れるか。1時間9分台が復調の目安となる。【5月前半の主な陸上競技大会】5月3日:静岡国際(袋井エコパスタジアム)5月4日:水戸招待(水戸)5月6日:ゴールデングランプリ川崎(川崎市等々力陸上競技場)5月12日:ゴールデンゲームズinのべおか(宮崎)5月12、13日:関東学生対校第1週(東京・国立競技場)5月13日:仙台国際ハーフマラソン