第56回関西実業団対抗駅伝が11月17日、和歌山県田辺市の7区間80・45キロのコースで行われる。上位5チームがニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝)へ駒を進める。最大の焦点は北京五輪代表だった竹沢健介(27)が加わった住友電工の、ニューイヤー駅伝初出場がなるかどうか。

 竹沢は早大4年時の北京五輪5000メートルと1万メートル代表。学生では56年ぶりのトラック長距離種目に出場した。翌年エスビー食品に入社し2010年アジア大会に出場したが、アキレス腱の故障に悩まされ再度の世界大会代表入りは果たせないでいる。

 エスビー食品の廃部に伴い瀬古利彦総監督らスタッフと選手の大半はDeNAに移籍したが、竹沢は7月に住友電工に入社して別の道を歩き始めた。エスビー食品は2000年のニューイヤー駅伝を最後に実業団連合・連盟主催の駅伝に出ていなかったため、竹沢は今大会が実業団駅伝初登場となる。

 住友電工の長距離は一昨年まで同好会的な活動で、関西予選には参加していたがニューイヤー駅伝に出場したことはない。昨年8月に、やはり廃部となったサムコから橋本忠幸監督(46)や藤山哲隆(29)ら選手を受け容れて強化を本格的にスタートした。

 昨年は“次点”の6位だったが、今季は生え抜きの藤村行央(26)らも成長。竹沢の加入で「3位以内」(橋本監督)を目標にしている。「竹沢の起用区間はアキレス腱の状態を見て決めますが、選手たちは昨年までの“ニューイヤー駅伝に行けたら”という気持ちから“行かなきゃいけない”に変わってきています」

 3強といわれている佐川急便、大塚製薬、NTT西日本の一角を崩す意気込みだ。

 3連勝中の佐川急便はエースの山本亮(29)の回復次第か。

 山本はロンドン五輪マラソン代表で、今年3月のびわ湖マラソンでも2時間09分06秒と安定した強さを見せた。6月には1万メートルで28分13秒23の自己新と、課題だったスピードアップにも成功していた。

 9月のベルリンマラソンで2時間7分台も期待できたが、8月終わりに右足くるぶしと踵の疲労骨折が判明。目標を駅伝に変更した。中野剛監督によれば「1カ月前から走り始めている」が、関西予選出場は直前の状態を見て判断する。

 山本が出場できれば佐川急便の4連勝の可能性が高いが、欠場のときは「山本に近い練習」(中野監督)ができる飯沼健太(25)や、新人の橋爪孝安(22)の頑張りが必要になる。