「雑草ルーキー」が駒大に7年ぶりの総合優勝をもたらす。箱根駅伝(来年1月2、3日)に向けて12日、都内で練習を公開。村山謙太、中村匠吾(ともに4年)のダブルエースとともに注目されたのは1年生の工藤有生(なおき)。高校時代はまったく無名だったルーキーは夏を越えて急成長。大八木弘明監督(56)からもキーマンに指名された。

 無名のルーキーが、今やスーパールーキーに変貌した。工藤は先月の全日本大学駅伝5区で区間2位に入り、チームの4連覇に貢献。その2週間後の上尾ハーフマラソンではジュニア歴代3位の1時間2分18秒で3位に入った。大八木監督からは「入学当初は、ひょろひょろのもやしっ子。夏をすぎて彗星(すいせい)のごとく、一気に来た。面白い存在」と期待された。

 名門の広島・世羅高出身だが、高校総体、全国高校駅伝の出場経験はともにない。駒大入学直後は左足のすねを痛め、5月の関東インカレは不出場。補助員としてチケットのもぎりをしていた。大学生活も苦難のスタートだったが、救いは大八木監督の一言。「高校時代に負けてきた同級生たちに、大学で見返してみろ」。「もやしっ子」の負けじ魂に火が付く。

 日々の練習から全力を尽くす。常に箱根のメンバー選考を想定。「ここで離されたら出られない」と苦しくても歯を食いしばった。夏合宿では1日50キロを走り込む。努力の成果は夏を越え結果として表れ、箱根の16人のエントリーメンバーにも入った。「春には想像もしていなかった。必死にやって今がある」。4年生エースだけではない。1年生の急成長。層の厚さは絶対的な優勝候補の強さの証明だ。【田口潤】

 ◆工藤有生(くどう・なおき)1995年(平7)9月5日、広島県東広島市生まれ。姉の影響で中学から陸上を始める。広島・世羅高時代は無名で実績は3年時の中国地区高校駅伝4区の区間賞獲得くらい。今春から駒大に入学。5000メートルのベストタイムは14分7秒27。好きなタレントは新垣結衣。趣味はカラオケ。177センチ、54キロ。