10月23日土曜日、第27回日本トライアスロン選手権が宮崎県で開催される。毎年、この大会は東京・台場で行われていたが、今回は東京オリンピックの会場撤去作業で使用できないため、会場を変更しての開催となる。

新型コロナウイルス対策として、大会はバブル形式の中で行われ、無観客レースとなるが、YouTubeでの生配信やネットでのLIVEタイミングは行われる予定だ。

東京五輪代表選手は今回出場しない。有力選手も海外でのワールドトライアスロンカップなどに出場するため不在。この状況で、ベテラン勢が底力を発揮するのか? ニューヒーロー・ヒロインが誕生するのか?

20年日本選手権で優勝した上田藍
20年日本選手権で優勝した上田藍

女子は21人が参加する(10月21日現在)。

優勝の大本命は、五輪3大会出場の上田藍選手だろう。宮崎のコースとは相性もよく、ワールドトライアスロンカップでも表彰台に上がっている。その上田選手をスイムでリードし、レースの流れを作るキーパーソンとしては、中山彩理香選手、久保埜南選手、ベテランの井出樹里選手、蔵本葵選手、西麻依子選手らがあげられる。

今回は出場人数が少ないため、スイムアップの位置とバイクの走力が鍵となりそうだ。展開によっては、ランが得意な選手が有利になる事も予想される。

男子は31人の参加となる(10月21日現在)。

36歳のベテラン、細田雄一選手の活躍に期待がかかる。スイムからレースを引っ張る若手選手や、バイクの走力に自信のある選手らがどういう仕掛けをしてくるのかに注目だ。スタートリストを見る限り、ランを得意とする選手も名を連ねているため、フィニッシュまで目が離せない。

24度目の出場となる北京五輪代表の山本良介選手は今年42歳。24年間走り続けている大ベテランの活躍とレース運びにも、注目だ。

18年日本選手権3位の細田雄一
18年日本選手権3位の細田雄一

また同日、第23回日本U19トライアスロン選手権も開催される。トライアスロン界の未来を担うアスリートたち。このカテゴリーの選手は、スイムとランのポテンシャルが非常に高い。

女子は、昨年の日本選手権で8位に入賞した林愛望選手を中心に、安西琴美選手、平泉真心選手がレースの主導権を握ると予想している。林選手はランを最も得意としている。安西選手はスイム、平泉選手はバイクと、三者とも得意種目が違うので、自分の長所をどう生かすかで勝敗が決まるだろう。

男子は、高校生ながら日本トライアスロン連合が定める認定記録会トップタイムの大室杏夢選手が中心になるだろう。林田悠希選手、大谷友哉選手や、大室選手の後輩にあたる大島拓人選手の活躍にも期待がかかる。

大室選手は今年、陸上競技でもインターハイに出場している実力者。1500メートルの自己ベストは3分52秒だ。「二刀流」といえば、東京五輪銀メダリストのアレックス・イー選手(英国)も陸上競技とトライアスロンの両方で活躍している。日本の若い世代も他種目との二刀流選手が増えてきているように思う。

近い将来、彼ら彼女らが世界の強豪と肩を並べて走る姿を期待している。

コロナ禍のため国内レースの中止や延期が相次ぐ中、日本トライアスロン選手権は開催される。選手は久々のレースで気持ちが弾んでいるに違いない。ぜひとも選手の勇姿を目に焼き付けていただきたい。

(加藤友里恵=リオデジャネイロ五輪トライアスロン代表)