ドレスアップした大勢の女子プロを見られる貴重な機会だった。昨年末に行われた日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の年間表彰式「JLPGAアワード」。原英莉花は肩や背中を大胆に露出したラルフローレンの黒のロングドレス姿。黒いファージャケットを羽織る姿は、海外モデルや女優のような圧倒的なオーラを放っていた。

着物の競演も良かった。京都出身の川崎春花は、白地に赤のバラがあしらわれた着物を着用。はんなりとした雰囲気にマッチしていた。金田久美子と脇元華の着物姿は大人の女性といったオーラが漂っていた。毎年、くぎ付けになるのは上田桃子。今年もファッションセンスを発揮していた。今回はグッチのセットアップ。グレーのダブルのジャケットとパンツに、アクセサリーはTASAKIのパールピアス。さらりと着こなし、格好良かった。

誰もが「特別な場所」と位置付ける年間表彰式。時間をかけてふさわしい服装を選び、メーキャップもこだわったのだろう。ファッションの競演は見応えがあった。

ツアーでは前夜祭が行われる大会もある。プロもおしゃれをして駆け付ける。決まりはないが、毎回、同じ服装というわけにはいかない。だが、ツアーを転戦するため、着物を持参することも、洋服を買いに行く時間を取ることもなかなか難しいのが現状だ。

若い女子プロたちの救世主はファッション通販サイトだ。Z世代に人気の中国発のアパレルECサイト「SHEIN(シーイン)」を利用するプロもいる。

「SHEIN」が日本向けにサイトを立ち上げたのは約2年前。昨年11月に東京・原宿に世界初の常設のショールーム店舗を開設した際、大行列ができて、一躍注目を集めた。流行を抑えて種類が豊富な上、例えばワンピースが1000円前後などと激安だ。「ウルトラファストファッション」とも呼ばれる。あるプロは「買い物に行く時間もないから便利。安いけど、高見えする」と明かした。

ツアー中はファッションに全力投球する時間はない。それでも前夜祭仕様にしっかり仕立てて、おしゃれにコーディネートする。流行を抑え、効率的におしゃれを決める女子プロのやりくり上手な“ノウハウ”に感心した。【近藤由美子】(ニッカンスポーツ・コム/ゴルフコラム「ピッチマーク」)

JLPGAアワードのフォトコールで衣装を披露する金田(左)と脇元(2022年12月21日撮影)
JLPGAアワードのフォトコールで衣装を披露する金田(左)と脇元(2022年12月21日撮影)