<女子ゴルフ:ゴルフ5レディース>◇最終日◇6日◇岐阜・ゴルフ5カントリーみずなみC(6571ヤード、パー72)◇賞金総額6000万円(優勝賞金1080万円)

小祝さくら(22=ニトリ)が、ツアー通算2勝目を挙げた。首位から出て6バーディー、ボギーなしの66で回り大会記録の通算17アンダーの199。6打差の圧勝だった。2年前の同大会でプレーオフの末にV逸。前週のニトリレディースは地元北海道で惜しくも2位だった。悔しさを糧に黄金世代では畑岡、渋野、勝に続く4人目の複数回優勝。12月10日開幕の全米女子オープン(テキサス州チャンピオンGC)でメジャー初出場すべく、世界ランクアップを狙う。

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2年前に流した涙を、覚えている。18年9月2日のゴルフ5レディース最終日、小祝は申ジエ(韓国)とプレーオフを戦った。1ホール目では決着がつかず雷雲接近で中断。集中力を切らすまいとロッカー室にこもり、靴べらで素振りを続けた彼女の手は震えていた。1時間半後に再開。緊張は解けず、3パットで目の前にあった初優勝を逃した。会場では無理な笑顔を見せていたが、母ひとみさんがいる車に乗ると我慢できなくなった。

母は札幌市内でスナックを営みながら、女手ひとつで育ててくれた。あの日の夜、岐阜から次戦の会場となる富山まで移動する車中、窓を眺めながらずっと泣いていた。「負けた悔しさがこみ上げてきて。こう見えてすぐ泣くんですよ、私」。そう話しながら、また目に涙がにじんでいた。

翌週の日本女子プロ選手権(富山・小杉CC)は、当時大地震に見舞われた故郷北海道を励まそうと再び優勝争いを繰り広げて6位。何度も壁にぶつかりながら、母と二人三脚で強くなった。【ゴルフ担当デスク=益子浩一】