ミレニアム世代の古江彩佳(21=富士通)がツアー史上9人目となる2度目の2週連続優勝を飾った。首位スタートから69をマークして通算12アンダー、276で逃げ切った。今季ツアー5勝目で通算6勝目。ツアー2番目の高額V賞金3600万円を獲得し、賞金ランクも4位から2位へ。残り5戦で1位稲見萌寧(21)に約2200万円差まで接近。逆転女王の可能性も出て来た。西郷真央(20)が1打差2位だった。

    ◇    ◇    ◇

最後はシビれた。最終18番パー4、13メートルのバーディートライがショートし、外せばプレーオフというパーパット。沈めた古江が思わず右手を握りしめた。ティーグラウンドで1組前の西郷がバーディーを決めた歓声を聞いていた。

「11アンダーになったんだな、落とせないなと思い、緊張しました」。プロ5勝目で初めてギャラリーの前での優勝だった。しかも、会場は自宅通勤の地元・兵庫だ。「本当にうれしかった」。表彰式ではいろんな思いが脳裏をよぎり、少し涙ぐんだ。

前週優勝で約11カ月のブランクを埋め、強さを取り戻した。この日、身上のフェアウエーキープは14ホール中12回。スピンを計算したアイアン、ウエッジショットでパーオンは18ホール中16回。10番パー4、残り143ヤードの第2打で9番アイアン(I)をピッチングウエッジに持ち間違えたが、黒子で39勝となった清水重憲キャディー(47)の指摘で気づき、9Iでバーディーを奪った。「Pが9に見えて」と穏やかに笑う姿に清水キャディーは「背格好も近い、ショットも切れる、メンタルも強い」とうなる。似ているプロにかつてバッグを担いだ「イ・ボミ」の名前を出した。

昨秋の2週連続Vから11カ月ぶりに勝ったと思えば、早速2度目の2週連続V。ツアー史上複数回達成者は9人目で「21歳150日」の達成年齢は、宮里藍の「19歳337日」に次ぐ2番目の年少記録。生涯獲得賞金も2億円を超え、こちらも宮里の「20歳105日」に次ぐ年少記録だ。

古江自身に確かな記憶はないが、幼稚園の頃、運動会で「1位じゃないとダメ。2位じゃダメ」と言い、母ひとみさんを驚かせた。負けず嫌いは「今も変わりません」とはっきり言い、理由を「2位だとみんなに覚えてもらえないというか…。記録にも記憶にも残らないので」と説明した。

今年のツアーで2番目の高額優勝賞金3600万円を獲得し、今季賞金は約1億9240万円。賞金ランクは4位から2位となり、この日腰痛で棄権した1位稲見に残り5戦で約2200万円差に迫った。古江は「そのへんはあまり考えず、1試合1試合頑張ります」と言った。しかし、あえて口に出さなくとも、思いはきっと胸にある。逆転賞金女王-。1位しか意味がないという考え。筋金入りのプロ根性で終盤戦を突っ走る。【加藤裕一】

<古江彩佳の使用クラブ>

▼1W=ブリヂストンスポーツ B1ドライバー(シャフト=フジクラ スピーダー569TR 長さ45・25インチ、硬さS、ロフト10・5度)▼FW=同 ツアーB JGR(3W=15度、7W21度)▼UT=同 ツアーB JGR(4U=23度、5U=25度)▼アイアン=同 ツアーB 18X-CB 6I~PW▼ウエッジ=同 ツアーB BRM(50、54、58度)▼パター=テーラーメイド スパイダーツアー▼ボール=ブリヂストンスポーツ ツアーB XS