<全国高校総体:陸上>◇7月31日◇山梨中銀スタジアム

 陸上男子100メートルで、東京・大嶋健太(2年)が10秒64で初優勝した。昨年、同種目で敗れた桐生祥秀(現東洋大1年)から刺激を受け、2020年の地元東京五輪出場を誓った。

 大嶋が終盤に強さを発揮した。スタートこそ出遅れたものの、80メートル付近からぐんぐん加速。近大付の滝内誠(3年)を最後にかわしてみせた。ゴールの瞬間は「鮮明に覚えている。最後に1人抜いたので勝った、と」。喜びのあまり、ウエアをまくり上げた。ライバルたちと握手を交わした後は、観客席に両腕を突き上げて勝利をかみしめた。

 今大会でさらに成長を遂げた。昨年は1年生ながら4位と健闘。だが6月の南関東大会では2位と苦渋を味わった。この日の準決勝ではまさかのスタートの失敗。2位で進出した決勝では慎重になって序盤は出遅れてしまった。向かい風2メートルの“逆境”もあった。それでも「インターハイにピークを持っていこうと思っていたので南関東大会は気にしていない。今日の準決勝も通過することができたし、決勝は勝つことにこだわった」と気後れすることなく本番に臨んだ。持ち前の後半の強さを発揮して、2年生ながら見事、高校生の頂点に立った。

 昨年は桐生が100メートル、400メートルリレー、200メートルを制するなど大会を席巻し、大嶋は大きな刺激を受けた。「スタートの加速力は自分も持ち味のはずなんですが、その数倍上でした。いろいろ話して見習いたいことがたくさんありました。目標は桐生さん」。16日からはユース五輪(中国・南京)に出場。同年代のレベルや強さを肌で感じてさらなるレベルアップを目指す。2020年東京五輪での活躍が期待されるが「出場を目指したい。そのためにしっかり練習していきたい」ときっぱり。男子短距離界に期待の新星が現れた。【豊本亘】

 ◆大嶋健太(おおしま・けんた)1997年(平9)9月3日生まれ、東京都練馬区出身。小学校時代はミニバスケット部だったが、中学で「顧問の先生に勧められて」本格的に陸上を始める。家族は両親、兄2人。173センチ、64キロ。

 ◆東京高校

 1872年(明5)上野塾として開校。1954年(昭29)現在の校名に改称。私立の男女共学校。インターハイで陸上部は2011年男子総合優勝、12年女子総合優勝を飾っている。所在地は東京都大田区鵜の木。