<全国高校総体:陸上>◇2日◇山梨中銀スタジアム

 甲府市で行われた陸上の女子800メートルで高橋ひな(兵庫・西脇工1年)が2分8秒71で初優勝した。

 スーパールーキーの誕生だ!!

 ラスト100メートル。高橋が勝負を仕掛けた。後続選手も続けとばかりにスパートしたが、高橋が逃げ切った。電光掲示板を見上げて名前を確認すると、両手を頬に当て、白い歯を見せた。「『ここだ!』というところで勝負ができました。(高校総体)1年目で順位は気にしていなかったので力が抜けて良かった」と、勝因を語った。

 高橋はダークホースだった。女子800メートルでは、近畿大会を2分8秒47で完勝した石塚晴子(大阪・東大阪大敬愛)が優勝候補だった。突然のニューヒロインの誕生に、会場も沸いた。

 高橋は昨年8月の全日本中学選手権で800メートルと1500メートルの2冠を達成。同10月の東京国体の陸上少年少女共通800メートルでは、中学新記録となる2分7秒19を樹立した。軸のぶれない大きなフォームで、先頭を引っ張る「超攻撃型」の走りが特徴だ。

 数多くの高校から誘いはあったが、今年4月に男子高校駅伝の名門、西脇工に進学した。理由は「練習を見て雰囲気が良さそうだったから」という。同時に、寮生活も始まり間食をしなくなったため、毎春の悩みであった体重増もなくなった。「春になると4キロぐらい太っちゃうんです。環境の変化が良かったのかもしれません」。容姿はスラリと伸びた手足に色黒で真っ白な歯から、元ビーチバレー選手の浅尾美和をほうふつとさせる美少女だ。「学校でモテるでしょ?」と問うと、「全くモテないんです…」と苦笑いした。

 高校生活で成し遂げたいことがある。「春から秋までは800メートルと1500メートルをやって、冬は長距離(駅伝)をやってみたいんです」。トラックと駅伝の“二刀流”を掲げた。高橋ひなの進化はこれからだ。【峯岸佑樹】

 ◆高橋(たかはし)ひな

 1998年(平10)4月5日、兵庫県生まれ。小学1年でマラソンを始め、山陽中3年の時、東京国体の少年少女共通800メートルで2分7秒19の中学新記録を樹立。家族は両親、弟2人。趣味は読書。好きな食べ物はカレーライス。好きな芸能人はイモトアヤコ。164センチ、49キロ。血液型B。