<全国高校総体:陸上>◇3日◇山梨中銀スタジアム

 甲府市で行われた陸上の女子100メートル障害でヘンプヒル恵(京都文教3年)が13秒72で初優勝した。前日2日の7種競技では、日本ジュニア新記録で2連覇したばかりで、驚異のスタミナを見せつけた。

 “鉄人”ヘンプヒルが強い。50メートルすぎからトップギアが入った。横並びだった選手と2メートル近く差が開いてフィニッシュ。「後半に伸びるタイプなので、5台目ぐらいから『本番や』と思って気合を入れました」。おっとりした京都弁で、振り返った。

 今大会は100メートル障害、7種競技、400メートルリレー、1600メートルリレーに出場。初日の7月30日から最終日の3日まで5日間、フル稼働だった。

 この日は午前10時からの100メートル障害予選に始まり、午後4時35分からの1600メートル決勝まで5レース。前日2日に過酷な7種競技を終えたばかりだが、この日もレースが終わったら次の場所へ走って向かった。

 驚異のスタミナには母の手料理と楽観的な性格が影響している。「スタミナはマミーの食事のおかげです。必死に栄養学の勉強をして、毎日、お弁当を作ってくれはります。特に、豆腐ハンバーグは最高です」。またレース直前には、大会後、家族と東京ディズニーリゾート観光をするとのことで「ディズニーランド!

 ディズニーランド!」と繰り返し、疲れた気持ちを紛らわしていたという。「ほかよりしんどいことをしてナンボ。しんどい時こそ楽しむんです」。

 今後は大学まで7種競技を続け、良きタイミングで100メートル障害一本に絞るという。「東京五輪は分かりません。今を楽しまないと損しますんで」。自称オッサンの美人アスリートの強さが表れていた。【峯岸佑樹】

 ◆ヘンプヒル恵(めぐ)

 1996年(平8)5月23日、京都府生まれ。小学校ではハンドボールクラブで活躍。中学で陸上に転向し、中学3年の全日中では4種競技で優勝。昨年の高校総体では7種競技で優勝。父が米国人、母が日本人。趣味は映画鑑賞。好きな言葉はありがとう。好きな歌手は絢香。167センチ、57キロ。