さようなら、真央ちゃん。フィギュアスケート女子の10年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央(26=中京大)が引退を表明した。15歳でGPファイナル制覇も年齢制限により06年トリノ五輪に不出場。ライバルのキム・ヨナ(韓国)との激闘、最愛の母匡子さん(享年48)との別れ、そして14年ソチ五輪で見せた奇跡のフリー。競技の枠を超えて愛された国民的ヒロインが、勝負の銀盤に別れを告げた。

 号泣する浅田の姿が、人々の心を震わせた。14年2月のソチ五輪。SP16位と出遅れ、メダルの可能性はなかった。それでも浅田は代名詞のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を含めてジャンプをすべて着氷。「奇跡のフリー」に、大相撲元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏が「2日間あんまり寝てない。本当に感動をありがとう。真央ちゃん。メダルなんかいらない」とつぶやいた。ロシアの地元記者は「私はサムライを見た。メダルが何だ! サムライにとって唯一の勲章は不朽の名声だ」とした。競技も、国境も超えて、愛された希代のスケーターだった。