飛び込みで親子3代の五輪出場を目指す金戸凜(14=東京・日出中)が、今秋からオーストラリア・シドニーに拠点を設けることが17日、分かった。日本スポーツ振興センター(JSC)の20年東京五輪に向けた「有望アスリート海外強化支援」事業の対象選手に選ばれた。

 拠点はシドニーのニューサウスウェールズ・スポーツ研究所。08年北京五輪男子高飛び込みで、強豪の中国勢を抑えて金メダルを獲得したマシュー・ミッチャムらを輩出するなど、抜群の練習環境を誇る。来年3月末までに数週間ずつ、定期的に合計100日ほどの合宿を敢行する。成果次第では来年以降も拠点として認められる。

 この事業は昨年から始まり、選ばれた選手は世界で飛躍している。陸上のサニブラウン・ハキーム(18)は世界選手権男子200メートルで決勝進出。卓球の平野美宇(17)は日本勢48年ぶりの女子シングルス銅メダル、張本智和(14)は史上最年少でベスト8に入った。トレーナー、栄養サポートも充実するだけに、金戸もステップアップへのチャンスが広がる。

 2月の国際大会派遣選手選考会3メートル板ではリオ五輪代表の板橋美波を破って優勝。6月の日本室内選手権女子3メートル板も制した。高飛び込みでは女子で世界初の大技「後ろ宙返り1回半3回半ひねり」を磨く。「有望アスリート海外強化支援」が、祖父母、両親に続く、親子3代の五輪出場への大きな1歩になることは間違いない。

 ◆有望アスリート海外強化支援 20、24年の五輪・パラリンピックで活躍が期待されるトップクラスの若手選手に海外での強化活動を支援する事業。<1>23歳以下<2>「10年に1度の逸材」<3>24年五輪・パラリンピックでは金メダル獲得が期待される選手などの選定条件がある。コーチ、トレーナー、サポートスタッフも同時に派遣。世界最高水準の指導法に触れることで強化スタッフの向上も目指している。

 ◆金戸凜(かねと・りん)2003年(平15)7月18日生まれ、東京都出身。姉華(18)兄快(16)も飛び込み選手。幼少時代からトランポリン、バレエを学び、小学1年から本格的に競技を開始。16年日出中入学。同年全国中学の3メートル板、高で2冠。150センチ、40キロ。