08年に現役復帰した後、常に「ケガでいつプレーできなくなるか分からない」と話してきた。そして、ついに、その日がやってきた。世界4位になり、96年に引退した時は「ツアーに疲れ、テニスが楽しくなかった」。今は1201位でも「けががあったとは言え、楽しかったツアー、トップ50でプレーできたこと、多くのサポートへの想いなど充実した9年半」といえた。
9月28日で47歳の誕生日を迎える。アラフォーどころかアラフィフだ。実は、前のプロ人生が7年半。現役復帰後が9年半と、後半の方が現役が長い。たゆまぬ努力と厳しさで、中年の人々に勇気と感動を与えた。そして最後は、日本が生んだ不世出の女子アスリートとして心身ともに燃え尽きた。
<伊達公子(だて・きみこ)アラカルト>
▼生まれと家族 1970年(昭45)9月28日、京都市生まれ。3人きょうだいの末っ子。
▼テニス開始 6歳で両親が通っていたセブンスリーTCで始める。
▼高校総体3冠 88年高校総体で単複団体の3冠。
▼プロ転向 89年4月に高校卒業後にプロ転向。
▼日本女子史上最高成績 94年全豪、95年全仏、96年ウィンブルドンの4強は、4大大会の日本女子歴代最高成績。
▼最高位 95年11月に記録した世界4位は、錦織圭と並んで現行制度で日本人最高位。
▼ライジング・サン 94年全豪で4強に入った時に、日いづる国と、球がバウンドしてすぐに打つライジング打法をかけて命名された。
▼最初の引退 96年9月24日に引退を発表。
▼復帰 08年4月に、「新たな挑戦」として公式戦復帰を発表。当時37歳。
▼全日本V 08年11月に全日本で16年ぶり優勝。単複2冠を達成した。
▼4大大会本戦 09年全豪で予選を勝ち上がり96年全米以来約12年半ぶりに4大大会本戦出場。
▼最年長記録 42歳で記録した13年全豪での本戦勝利と、同年ウィンブルドン3回戦進出は、オープン化以降女子最年長。
▼ツアー最多V 日本女子としてツアー通算シングルス8勝は最多。
▼結婚と離婚 01年12月にドイツ人ドライバーのミハエル・クルムと結婚。16年9月に離婚。