羽生選手の一番の収穫はやはり4回転ルッツだろう。初挑戦で成功させるのは強い。自分が複数の4回転を持っているのは強みと感じられると思うし、シーズンを過ごす中で自信になる。(その後のミスは)ルッツを跳んだことが影響しているのかなと。ルッツを組み込んだ上で、プログラムを完璧にする難しさだろう。今大会は本番でのループの調子が良くなく、SPでオーバーランしている状態だった。

 今シーズン、選手たちが様子見でくるかなと思っていたが、初めから皆がすごく攻めている印象。五輪本番は別にして今季はこの勢いでどんどんいくだろう。チェン選手は練習でループの調子が悪そうだった。フリーで回避したが、違う種類で対応できる。4回転を5種類持っている強みだ。

 羽生選手はミスがあったものの、もともとスロースターター。SP冒頭で首を回してからバッククロス(足を交差させて後方に滑る)を行うが、その一連の動きに彼らしくない感じを受けた。ただいつものGP初戦に比べ、まとまっていた方だと思う。これからかみ合ってくるだろう。(10年バンクーバー五輪代表、11年世界選手権銀メダリスト)