エースは譲らない。リオ五輪の卓球男子シングルス銅メダル水谷隼(28=木下グループ)は7日、ワールドツアー、ドイツ・オープン出場のため、羽田空港から出発した。

 今月発表された世界ランクは6位と、5位の丹羽孝希(23=スヴェンソン)に日本人トップの座を奪われた。危機感はない。現在の世界ランクはワールドツアーなどの出場試合数の影響を受けやすい。プロのロシアリーグ、アジア太平洋(T2)リーグなどに参戦する水谷は、ワールドツアー出場数は他選手より少ない。「抜かれるのは当然。世界ランクを意識していれば、もっと大会に出ている」と、日本人初の五輪シングルス銅メダリストのプライドをにじませた。

 日本人エースの座を懸ける場として、年に1度の全日本選手権(来年1月15日開幕、東京体育館)を設定した。5年連続、計10度目の優勝のかかる大事な大会。今月世界ランクを追い越された丹羽、6月の世界選手権で敗れた、14歳張本智和(エリートアカデミー)ら猛追する選手は多い。「日本人選手のレベルは上がっている。その中で自分の力を証明したい」と意気込んだ。

 続けて「そこで結果を残せなかったら、東京(五輪)へ赤信号がともるのではないか」と東京五輪の大舞台へ、全日本優勝をノルマに掲げた。自らを追い込むような発言だが、エースとしての自信が裏打ちされているようだった。