日本フェンシング協会の太田雄貴会長(31)が、12日に閉幕した高円宮杯男子フルーレW杯東京大会の陣頭指揮を取った。大会中は会場の駒沢体育館の中を休むことなく動き回り、運営面や客席の状況などを細かくチェック。ファンや関係者から声を掛かられると笑顔で握手を交わし、記念撮影にも応じた。

 8月に会長に就任して初めて迎えたビッグイベント。10日の会見では「選手時代は試合結果に悩みましたが、今はコストに悩んでいます」と苦笑していたが、自ら大会スポンサーにかけ合って準決勝、決勝を行うメインピットにLED照明を導入。選手がポイントを挙げると床面全体が鮮やかに発光する演出を実現させた。試合の合間には自らそのピットに立って来場者のためにルール教室を開講。日本代表選手を客席に入り込ませて試合の生解説をさせるなど競技普及と認知度アップにも力を注いだ。

 それだけではない。アリーナMCが派手に出場選手を紹介し、ヒットソングが立て続けに流れ、ダンス&ボーカルユニット「RADIO FISH」のメンバーが試合コスチュームで踊って会場を盛り上げた。会場入り口にはコーヒーやお茶、パスタの無料試食コーナーも開設。12日の男子フルーレ団体上位3チーム、米国、韓国、日本の選手たちのサイン会まで行われた。

 「マイナー競技だからと少ない観客に慣れてはダメ。たくさんの人の前で戦うことが強化につながる。フェンシングはこれから良くなっていくだけですから。フェンシングは変わるんです。この大会がその第1歩」。太田会長の熱意が11、12日の2日間の有料入場者約1600人、例年の3倍近い動員につながった。12月の日本選手権(駒沢体育館)でも改革第2弾が断行される。