柔道女子の17年世界無差別級選手権金メダルで、78キロ超級世界ランキング1位の朝比奈沙羅(21=東海大)が東京オリンピック(五輪)後の20年12月で現役を引退する意向であることが14日、分かった。東京・講道館での鏡開き式に参加し「柔道人生もあと3年と考えている。(五輪王者に与えられる)金ゼッケンで五輪後のグランドスラム(GS)東京大会で辞めると決めている」と明かした。

 麻酔医の父と歯科医の母を持ち、幼少期からの夢が五輪金メダルと医者になることだった。地元開催の東京五輪を経て20年12月で16年間続けた柔道人生に終止符を打ち、本格的に医者を目指す。幼少期は整形外科医に憧れていたが、今は「医学部に入学することが最優先。受験が大変なことは十分理解している」と現実を直視する。

 昨年9月末、勉強時間を確保するため東海大女子柔道部を卒部した。大学に在学しながらフリーとなり、朝と夜に勉強時間をあて、夕方に稽古する独自の練習を続けている。同大男子柔道部と週3~4日の稽古は変わらず、出稽古での強化も図っている。来春に大学を卒業予定で、卒業後は予備校に通いながら稽古する考えもある。

 昨年9月の世界選手権78キロ超級で銀メダルの悔しさを胸に刻み、今年の抱負を「不屈」とした。初戦はGSデュッセルドルフ大会(2月23~25日)。「五輪に向けた大事な年。東京五輪に全てを懸けているし、この3年間は勝ち続けて結果で示したい」。世界女王が夢をかなえるために突き進む。