平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子で66年ぶりに連覇を果たした羽生結弦(23=ANA)が、超難問で悪戦苦闘した。27日、都内で行われた日本外国特派員協会の会見に出席。4回転半や5回転ジャンプの難しさを何かに例えるよう求められ困惑。懸命に答えたが、意味が通じず落ちこんだ。

 羽生が海外メディアの質問に大苦戦した。最初は挑戦を公言している4回転半ジャンプや、夢の5回転ジャンプの難しさを説明してほしいと問われ、立ち上がって身ぶり手ぶりで解説した。その後、質問はエスカレート。誰でも分かるような例えで説明してほしいと尋ねられ「うああ~。初めてこんな質問が来ました」と苦悶(くもん)の表情を浮かべた。しばし、考えて困惑しながら答えを出した。

 「(4回転ジャンプは)えっとー、目をつぶって…うーん、回転しながら…3重跳びをやっているような感じ。縄跳びの」

 何とか理解してもらおうと言葉を重ねたが、外国人が多いこともあって通じなかった。机に頭を突っ伏し、恥ずかしそうに「だめだ…」とつぶやいた。あきらめず「4回転半は2回転しながら4重跳びを跳ぶ感じ。5回転は、3回転しながら5重跳びを跳ぶ感じ」と続けると、隣の司会者に「これは難しいよね」と助け舟を出してもらい終了。いつも質問に鮮やかに言葉を返す羽生が答えに窮するほどの難問だった。

 前日26日に平昌から帰国したばかりだが、この日は一日中駆けまわり、どのイベントでもていねいに質問に答えた。「僕なんかがきっかけで、ちょっとでも人生や考え方がいい方に向いたら幸せ」。多くの先人に影響を受けてきたように、自らの言葉が少しでも誰かの力になればと願った。この日、会見前に記念のメッセージを寄せた。記したのは「自分自身を貫く」という言葉。「自分を貫くことによって、後悔は絶対しない。後悔のない生き方をしてほしい」とエールを送った。【高場泉穂】