16年リオデジャネイロオリンピック(五輪)男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介(23=ブリヂストン)が、代表切符を死守した。200メートル個人メドレーで1分56秒37で7連覇を達成した。標準記録をクリアしてパンパシフィック選手権代表も決まった。200メートル自由形を棄権して専念した同種目で代表切符。12年ロンドン五輪から続く日本代表の座を守り、明日8日の400メートル個人メドレーで2冠を狙う。

 ラスト25メートルで猛追を受けた。萩野は手足を動かして瀬戸から逃げ切った。「すごくほっとしている。1月に体調を崩して今大会に出られるかどうかだった。周囲に感謝したい」。会場に集まった所属先の応援団約100人に結果で応えた。

 昨年末の練習で疲労が抜けなくなった。「おかしい」。年明けの1月2日、平井コーチは「顔色が真っ白でものすごかった。ゾンビみたいな顔でした」と言う。翌3日に「休め」と、同コーチから休養指令を受けた。38度8分の発熱もあったが、もともと練習の虫。休養が必要なのに体を動かしてしまう。「ランニングしたり、バイクをこぐと次の日はだめだった」。練習と休みを繰り返した。1カ月強で仕上げたが、第1日の400メートル自由形で2位と撃沈。同コーチの提案を受けて200メートル自由形を棄権して同種目に専念。死力を尽くして、代表権を得た。

 「いろんな人から『水泳を楽しみなさい』と言われた。つまんない顔をして泳いでいたんだなと思う」。レース後には400メートル個人メドレーの出場について、平井コーチに「(プロとして)君が決めなさい」と言われると「現状を確認してみたいので、出ます」と答えた。自らの意思で、2冠に挑戦する。【益田一弘】