女子48キロ級で12年ロンドンオリンピック銀メダル、16年リオデジャネイロオリンピック銅メダルの三宅宏実(32=いちご)が、スナッチ78キロ、ジャークキロ103のトータル181キロで11年ぶり4度目の優勝を果たした。16年8月のリオ五輪後、昨年11月に53キロ級で実戦復帰も、48キロ級での試合は五輪以来初めて。20年東京オリンピックでの5大会連続出場に向け、「この全日本が私にとってスタート」と手応えをつかんだ。

 土壇場で経験と気持ちの強さが生きた。ジャーク2本目の98キロを成功後、競り合っていた高橋いぶき(金沢学院大)に勝つため、一気にプラス5キロの103キロに挑戦した。実は持病の腰痛に加え、大会2週間前に右太ももを痛め、練習ではスナッチは72キロ、ジャークは97キロしかあげられていなかった。それでも「筋肉は覚えているはず」。103キロを引いた瞬間、「うわっ、重い」とひるんだが、「いくしかない」と自分を奮い立たせ、見事にあげきった。

 五輪ポイントレースは11月の世界選手権(トルクメニスタン)から始まる。代表選考は7月の国際連盟による階級変更の決定を待ってからとなるが、この優勝で、出場へ大きく前進した。48キロ級での優勝で「ほっとした」半面、トータル自己ベストの197キロから10キロ以上低い今の記録にもどかしさも募った。「ピーク時から下がってきていると思われるのは、悔しい」。世界のトップで再び戦うために、「日本記録を塗り替えるぐらいの気持ちでやっていきたい」と力強く宣言した。