フィギュアスケート男子で10年バンクーバー五輪銅メダルの高橋大輔氏(32)が1日、都内で現役復帰を表明した。

 スーツ姿で登場した高橋氏は「決断をしたのは昨年の全日本選手権。4年間、テレビの仕事などをしていろんな人に会い、やるべきことを全力でやっている選手らの姿を見る中で、これが本当に自分が1番やりたいことなのかなと思った。以前は勝てないのに現役をやるべきではないと思っていたが、それぞれの目標、戦い方があっていいのではと思った」と復帰理由を話した。

 また、悔いも残していた。ソチ五輪後に出場するはずだった世界選手権をケガで出場せずそのまま引退した敬意がある。「さっぱりした気持ちで次に進んでいなかったことに気づいた。次に進むために納得して進みたかった」と話した。

 今後は10月5日開幕の近畿選手権(兵庫)から11月1日開幕の西日本選手権(愛知)、そして、12月20日開幕の全日本選手権(大阪)へと青写真を描いている。

 大輔が戻ってきた-。14年ソチ五輪を最後に一時は引退した。その後は、アイスショーなどを行ってきたが、くすぶっていた心の炎がついに爆発した。17年全日本選手権にテレビの仕事で携わった時、「それぞれの立場、それぞれの目標を持って戦う選手たちの姿を見て感動し、この緊張感の中で戦いたい、滑りたい、と思うようになりました」と復帰への思いをオフィシャルウェブページに記した。

 さらに、「4年の月日がかかりましたが、本当にスケートに向き合っていきたいと考えるようになりました。そのためには、もう1度自分自身のスケートを取り戻す必要がある、その答えが、現役復帰でした」と説明した。

 もちろん、「4年間のブランクを取り戻すのは想像以上に難しい」と現実を受け止めてもいる。厳しい戦いになることは承知の上だ。それ以上に「もう1度、体をいじめ、鍛え直し、引退前に感じることができなかった、やり切ったと思える演技をしたいと思っています」と覚悟を持っての復帰だとつづっていた。

 高橋氏は8歳でフィギュアスケートを始め、05年に全日本選手権で初優勝し一気に主役へと上り詰めた。五輪は06年トリノ大会から3大会連続で出場。10年バンクーバー大会で日本男子で初表彰台となる銅メダルを獲得した。