国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は25日、東京都庁で小池百合子知事と会談し、2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピックで懸念される暑さ問題に強い懸念を示した上で、最も懸案となっているマラソンのスタート時間の前倒しをIOCとして検討する意向を示した。

小池氏が会談で「今年は(日本では)災害もあったが、暑かった。課題にしっかり取り組みたい」と日本の猛暑に触れると、バッハ氏は「私たちも懸念している。(五輪本番の)2020年に同じような暑さがやってくることになれば、対策が必要だ」と指摘した。

その上で、同行したIOC調整委員会のコーツ委員長が、マラソンの開催時間について「午前5時半から6時ごろに早めることも前向きに検討したい」と、スタート時間の前倒しを検討する考えを表明した。

小池氏は「日本では湿気の問題もある。ハイテクとローテクを組み合わせ、誰にとっても快適な大会になるよう努力したい」と述べた。

バッハ氏が都庁を訪れて小池氏と会談するのは、小池氏が一時検討した会場計画の見直しについて、意見交換した16年10月以来、約2年ぶり。

バッハ氏はこの日、東京大会で選手に贈るメダルに都市鉱山を利用するため、日本全体で進めている「みんなのメダルプロジェクト」に賛同し、自身の携帯電話も提供した。また先日、フランス・パリで行われた、ふろしきのイベント「FUROSHIKI PARIS」で展示された、自身がデザインのふろしきを小池氏からプレゼントされた。

バッハ氏デザインのふろしきは五輪カラーをあしらったもの。小池氏が、「ビニールの袋を使うことなく運ぶことができる」と、全世界で問題になっているプラスチックごみ対策の一面もあることを紹介すると、バッハ氏は「デザインには2日かけた。ふろしきというアイデアは、我々も誇りに思う」と応じていた。