男子の飛龍(静岡)は56-93で優勝候補の福岡第一(福岡)に敗れ、3回戦で姿を消した。福岡出身のエースのSF関屋心(3年)は静岡で成長した姿を地元の強豪校に見せつけ、一矢報いたかったが、力が及ばず、昨年の8強に届かなかった。

力の差を痛感した。序盤は食らいつくも徐々に離され、前半を25-44で終えた。後半開始直後に3連続パスミスで後手に回った。関屋は意地になり、ドライブを仕掛けるも空回りした。第4クオーター残り1分27秒で交代し、ベンチで涙を流しながら、試合終了を迎えた。「最後まで出たかった。自分が得点出来ず波に乗れないのがチームに伝わり、悔いが残る」と目を赤くした。

関屋は静岡で大きく成長した。兄の風画(新潟経営大3年)が飛龍で成長した姿を見て、進学を決めた。直前でともに進学する予定だった友人が地元に残り、気持ちが揺らいだが、原田監督の熱意に押された。

高校1年のときはドライブ一辺倒でまわりを生かす考えはなかった。原田監督は「1人でバスケットやってるんじゃない。まわりが助けてくれるからやれているんだよ」と周囲に目を向けるきっかけを与えた。関屋自身、プレースタイルを変えることに苦労したが、今年の総体後に変化。今大会は1回戦で30得点し、相手に警戒させると、2回戦では9アシストをマークした。関屋は「飛龍に来てよかった。まわりを使うことを教わったのに、今日は出来ず、原田先生に申し訳ない」と口にした。

来春には、PF杉山裕介(3年)とともに関東1部所属の白鴎大(栃木)に進学する関屋は「今日に全てをかけていたので、これからのことはまだ。とりあえず、先輩がしてくれたように後輩が新人戦で優勝できるように練習相手になります」と前を向いて、コートを去った。【大野祥一】