17年全日本ジュニア選手権王者の須本光希(19=関大)が、フリー2位の136・09点をマークし、合計202・14点で全体4位となった。

前日のショートプログラム(SP)はジャンプにミスが出て66・05点の6位。「強い気持ちで試合も臨めるようにしたい」と誓っていたフリーでも、冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒した。

しかし、ここからが違った。懸命に切り替えて3回転フリップ、ルッツ-トーループの連続3回転ジャンプで踏ん張ると、続く2回転半、2回転半-1回転オイラー-3回転サルコーをきれいに成功。残り2つの3回転ルッツ、3回転フリップ-2回転トーループもこらえ、フリーでは全体2位の成績をマークした。

「やっぱりアクセルこけてしまって。調子が良くなかったので不安もよぎったんですけど、最後まで集中力を切らさずにできた。それを演技前から思っていたので、やり切れたかなと思いました」

高難度ジャンプどうこうではなく、今まで跳べていたジャンプが「試合になると跳べない」状態が続いてたという。立ち直る端緒は試合前にあった。演技前、本田武史コーチから声をかけられた。「いつも通りやればいいから」。その一言に「不安もあったんで、泣きそうになったんですけど」と須本。背中を押され「武史先生の言葉を忘れることなく滑ることができました」と感謝した。

今年2月、長く師事していた大西勝敬コーチから本田コーチの元に移籍した。「試合前、大西先生は優しくて、武史先生は力強い言葉で送り出してくれる。練習中もハッキリここが良い悪いと言ってくれるので、ジャンプに成功した時は自信につながる」と話す。

公式戦で日本人初の4回転ジャンプを決めた本田コーチ。技術面でも影響を受け「ジャンプは、跳ぶ前の姿勢と締め方を移籍してから取り組んでいます。ちょっとずれてしまうと軸がどこかに行ってしまうことはあるんですけど、まだ完璧ではないとはいえ、いい方向に行っているかな」と安定してきた実感も、この日の踏ん張りにつながった。

12月の全日本選手権(長野)へ「ここまでに課題が見つかった。SPの時、調子が良くても、あんなに失敗したことはなかったので勉強になった。自信は持ちすぎないように、でも多少の良い自信は持って、全日本に臨みたい」。新たな環境で積み重ねているものを表現するつもりだ。