男子SP3位の宇野昌磨(23=トヨタ自動車)は、史上3人目の5連覇に届かなかった。フリー2位の190・59点を記録し、合計284・81点。最終滑走の羽生の演技を途中まで見届け「実力に関しては2歩ぐらい届かないのが、正直な感想。僕の演技はとってもいいものだった。でも羽生選手はいつも通り。久々にゆづくん(羽生)と試合に出て『僕の目標がここにあったんだな』と感じた」と2位の結果を受け止めた。

新型コロナウイルスの影響で、ずれ込んだ今季初戦。サルコー、フリップと序盤の4回転ジャンプで高い出来栄え点(GOE)を稼いだ。3本目の4回転トーループが3回転となり「そこからいろいろ考えた」。基礎点が1・1倍となる演技後半で2本の4回転トーループをそろえ、最終盤の3連続ジャンプを着氷させると笑顔になった。「自分で言うのも何ですが、とてもいい試合になった。皆さんに(好演技を)届ける一部になったかなと思います」と2日間を楽しんだ。

そこに競技会で演技できる幸せ、ライバルがいる幸せがあった。幸せは力だ。

「あらためて自分の目標になる選手が『すごい偉大な選手なんだ』と久々の大会で痛感しました。『また頑張ろう』と思いました」

23歳の可能性は、無限に広がっている。【松本航】