9日の全国高校ラグビー大会決勝(大阪・花園ラグビー場)に進出した桐蔭学園(神奈川)は、大会2連覇まであと1勝に迫っている。99回大会(2019年度)で母校を初の単独優勝に導いた前主将の伊藤大祐(早大1年)も、後輩たちの活躍を陰ながら見守ってきた。

大学ラグビー界でも、既にその名をとどろかせるスーパールーキー。伊藤は全国大学ラグビー選手権連覇が懸かる早大で早くもスタメン入り、チームに欠かせない存在になっている。

それでも、昨年度の全国高校ラグビー大会で優勝した時の思い出は、今なお色あせることはない。「3年生のまとまりが強くて、普段よりも人数が少なくてコミュニケーションが取りやすくバランスが取れた年でした。各ポジションに人材がいて。一番の強みは継続したアタック。ディフェンスもキックゲームでも自信がありました」と振り返る。

ターニングポイントは、98回大会(18年度)決勝で敗れた大阪桐蔭に31-12と準々決勝で快勝したことだ。「これが最後になっても良いくらい楽しもう。そういうマインドになると、判断やプレー自体も変わって腹をくくることができます」と実体験を交えて力説した。

前回大会で主力として活躍したNO8佐藤健次主将(3年)やロックの青木恵斗(同)が、今大会でもチームをけん引している。春から早大に進学予定の佐藤には、伊藤自ら模擬入試の面接官役を担当。試験前に緊張する後輩を和ませつつアドバイスを送ると、無事合格。「また一緒にプレーできる日が楽しみです」と笑った。

神奈川県予選決勝で東海大相模に19-17と辛勝した試合後には、佐藤に花園出場権を獲得したことを祝うメッセージをラインで送った。後輩からは「このままじゃダメなのはみんな分かってるんで花園までに修正していきたいです」と頼もしい返事をもらった。

その言葉どおり、花園の舞台に来てからは1回戦から順当に勝ち進み決勝までたどり着いた。決勝で戦う京都成章(京都)との大一番は、最上級生にとって高校生活最後の公式戦。先輩として「腹をくくってラグビーを楽しんでほしい」とエールを送っている。

【平山連】