優勝した桐蔭学園(神奈川)のOBで元日本代表WTBの四宮洋平さん(42)は、母校が初めて花園の地を踏んだ時に主力で活躍した1人だ。後輩たちの頑張りを「桐蔭らしく、落ち着いた試合展開でゲームをコントロールしていた。連覇ができて感無量です」と喜び、祝福した。

四宮さんが高3の時に出場した第76回大会(1996年度)で、桐蔭学園は初めて花園の舞台に立った。それまでは「神奈川のオールブラックス」とまで呼ばれて全国にその名をとどろかせた公立の相模台工(現神奈川総産)に、長年、辛酸をなめさせられた。県予選決勝で宿敵を破り、勢いそのままに16強入りを果たした。

当時既にコーチを務めていた藤原監督について、四宮さんは「当時から厳しい方でしたが、言葉にはいつも温かみがあった」。在学中にはいかなる時でもボールを片手で持つなー、と厳しく叱咤(しった)を受けた。進路選択の場面では、親身になって相談に乗ってくれた。関東学院大の卒業後、トップリーグのヤマハ発動機を皮切りに、ニュージーランド、南アフリカ、イタリア、フランスと海外で長くプレー。現役生活の下支えは、高校時代の3年間にあったと今では思う。

母校愛は他のOBと同じく強い。恩師から求められれば、グラウンドに顔を出すこともしばしば。海外でプレーしていた時には藤原監督にも頼まれ、日本代表の松島幸太朗(フランスのクレルモン)を気に掛け、後輩の世話役を買って出たこともあった。「『ちょっと話がある』と電話で言われたら、駆け付けます。今でも少し怖いですけど(苦笑い)、お世話になった恩があるので」。

連覇を決めた後の声はひときわ弾み「コロナ禍で難しいシーズンを送る中で優勝、うれしいニュース」と後輩たちの頑張りをたたえた。【平山連】