複合男子個人ラージヒルで渡部暁斗(32=北野建設)が銅メダルを獲得した。前半飛躍(ヒルサイズ=HS137メートル)で137・5メートルを飛んで2位で折り返すと、後半距離(10キロ)ではトップと22秒差でスタート。初の個人金メダルは逃したが、日本人初となる3大会連続の表彰台に立った。試合直後は「出場できる世界選手権も少なくなってきている。金メダルを取りたかったなと多少なりとも残っている」と悔しさをにじませていた。

逆転優勝を狙った後半の距離。先頭のランパルター(オーストリア)を追った。だが、差は広がった。「結構なペースで追い掛けてみたものの、差が縮まらなくて体力的にも精神的にもダメージを負って、徐々にいつも以上に疲労はたまってくるのは早かった」と振り返る。渡部暁から15秒遅れでスタートした前半3位の今季W杯個人総合トップのリーベル(ノルウェー)には4・1キロ地点より手前で追いつかれた。2位をキープするも、残り1キロを切ってリーベルにスパートを仕掛けられ、逃げ切られた。表彰式後、銅メダルを手にして「形があるものを残せたうれしさはある」と受け止めていた。

世界選手権初出場は07年札幌大会で、今大会で8度目の出場だ。金メダルは09年チェコ・リベレツ大会の団体のみ。個人では17年フィンランド・ラハティ大会ラージヒルの2位が最高だったが、これで個人では3大会連続で表彰台に立った。今季W杯で荻原健司と並ぶ日本勢最多通算19勝目を挙げ、「全体的に昨季より良くなっていて、自分でも驚いている」と、手応えをつかんで臨んだ世界選手権。22年北京オリンピック(五輪)での初の金メダルへ、大きな布石となった。