戸塚優斗(ヨネックス)が96・25点で初の金メダルを獲得した。男子ハーフパイプの日本勢優勝は09年大会の青野令以来、2人目の快挙は、3連覇中のスコット・ジェームズ(オーストラリア)に5・75点の大差をつける圧勝。今年1月の冬季Xゲームも制した19歳が、また世界で力を示した。

前回大会は銀メダルだった戸塚は「前回2位で負けていた。勝てて、すごくうれしい」と淡々と振り返った。1回目は「調子が悪くて、変に焦った」と失敗したが、2回目に93・00点を出してトップに。そして3回目には96・25点を叩きだした。縦2回転、横4回転する「ダブルコーク1440(DC14)」などを華麗に決めた。今季は無敗の強さ。日本のエースどころか、もう世界のトップスノーボーダーとして、追われる立場だ。「プレッシャーはない。他の選手のいいランを見ると自分もテンションが上がる」。まだ表情はあどけなくても、言葉は頼もしかった。

18年平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)は11位。決勝2回目で腰を強打し、そのまま病院に運ばれた。「技術的な面でも、メンタルの面でも追いついていなかった。自分に足りないことが分かった。その場の空気にのまれた」と振り返る。その屈辱を糧に成長を続けた。苦手だったバックサイドを改善し、フィジカルも強化され、空中技の高さも増した。技の精度、難度も含め、格段にレベルアップしている。

1年後の北京五輪へ向けては、はっきりと言った。

「今は技もメンタルも強くなっている。滑りきれると思います。実際に今、大会を回っていて、強くなったなと思う。誰もやっていないルーティン、誰もできないルーティンをして勝てたらうれしい」

その中身にも価値がある金メダルを渇望した。