フィギュアスケートの世界選手権(24日開幕、スウェーデン・ストックホルム)で紀平梨花(18=トヨタ自動車)が初優勝を目指す。22日は本番会場での公式練習後にオンラインで取材対応。今大会は22年北京五輪の国・地域別出場枠が懸かる大一番だ。紀平、坂本花織(20=シスメックス)、宮原知子(22=関大)のうち、上位2人の合計順位が「13」以内で五輪3枠獲得となる。自身初の無観客開催は「気楽」をテーマとし、18年平昌五輪で2枠となった女子をけん引する。

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赤色の客席に囲まれたリンクに立ち、紀平が高揚感を思い出した。「試合の感じが出てきて『楽しみになってきたな』っていうのがあります」。午前8時40分からの公式練習ではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)が好調。フリーに投入予定の4回転サルコーは2回目以降の練習に持ち越したが「氷の感触も私の好きな感じ。本番で一番、体が動く状態に持っていきたいです」と笑顔を見せた。

現地入り後はPCR検査で新型コロナウイルス陰性が分かるまで、部屋から出られなかった。大会は外部との接触を遮断する「バブル」で運営され、今季2戦目の紀平にとって初の無観客開催だ。「小さい頃にお客さんがほとんどいないことはあったけれど…」。昨年12月に2連覇した全日本選手権前には、拠点のスイスから帰国後に隔離を経験。1人で滑った経験をプラスに捉え「不安に思いすぎず、気合を入れすぎず、気楽に、楽しみながら。顔をこわばらせてしまうぐらいの緊張感を持たないようにしたい」と心を整理した。

この日、日本スケート連盟は代表全選手がPCR検査で陰性だったと発表。北京五輪の枠取りへ、まずはスタートラインに立った。平昌五輪で2枠となった女子は今回、上位2人の合計順位が「13」以内で3枠獲得となる。坂本は「しっかり動きまくりたい」と最終調整に気合を入れ、宮原も「思っていたより体の動きは良かった」。エースの紀平は「私からすればどれも同じように大事な試合。いつも通りベストを尽くしたい」と誓った。勝負の1週間を自然体で乗り越える。