フィギュアスケート世界選手権(24日開幕、ストックホルム)で4年ぶり3度目の優勝が懸かる男子の羽生結弦(26=ANA)が22日(日本時間23日)、公式練習に初参加した。

出国前の20日に、東日本大震災の余震に見舞われていたことやコーチとの再会など近況を報告。目標は22年北京五輪の「枠取り」を挙げ、男子は4大会連続となる3枠の出場権獲得へ「最大限貢献する」ことを約束した。

  ◇   ◇   ◇

羽生がスウェーデン入国後、初めて氷に乗った。昼の練習はスキップし、夜の公式練習に登場。曲かけでフリー曲「天と地と」を流し、ジャンプなしで銀盤の感触、ステップ、スピンを確かめた。体が温まると、4回転トーループからの連続ジャンプなどを跳んだ。

「割と淡々としてるというか。出るまで自分自身いろいろ思うことはあったんですけど」。オンライン取材では21年初の肉声。コロナ禍で初の海外遠征の迷いを打ち明けたが「でも現地に来て滑るからには何かしら意味のあるものにはしたい。目指す良い演技を重ねていって、グラデーションのように良くなっていってくれれば」と切り替えた。

通称「バブル」の中で送る隔離生活も「マスクとか手指の消毒とか僕にとっては普段通り」と不安なし。一方で出国直前は予定が狂った。現在は主に出身の仙台市を拠点とする中で20日午後6時9分、宮城県などで最大震度5強の地震が発生。「本来は新幹線で来る予定だったけど、使えなくなったりして。飛行機も変えたり、ちょっと大変でした。練習プランとしては少しズレたかな」と影響を明かしたが、すぐ修正した。「こっちの氷と、しっかり対話できた」。序盤は乱れもあったジャンプも終盤は安定感を取り戻していた。

再会もあった。リンク脇でオーサー、ウィルソン両コーチと意見交換。今季は拠点のカナダへ戻れず、1人で昨年末の全日本選手権(長野)へ調整した。リモートでは相談してきたが、直接指導は昨年2月の4大陸選手権(韓国)以来。「そばでサポートしてくれる人がいることはありがたい」と実感しつつ「しっかり話を聞きながら、でも自分のペースも守りながら」と自立した姿も示した。

目標は北京五輪の「枠取り」で「今はそれだけ」に集中する。13年の世界選手権は左膝や右足首の負傷を抱えながら強行出場し、日本勢最高の4位でソチ五輪に最大3枠をもたらした。当時も含め、男子は4大会連続となる3枠確保へ「最大限、貢献したい」が初日の抱負だった。【木下淳】

◆フィギュアスケート男女の北京五輪出場枠 今回の日本のように五輪前年の世界選手権に3人が出場する場合、上位2人の順位合計が「13」以内なら最大3枠を獲得。「14~28」なら2枠となる。今回で24枠が決定。残り6枠は9月のネーベルホルン杯(ドイツ・オーベルストドルフ)で。