ニッカンスポーツ・コムでは8日、18日、28日の「8」がつく日に、NBAウィザーズの八村塁(23)に関するコラムや話題を連載している。第3回は、ともにNBAでプレーし、先日ラプターズと本契約を結んだ渡辺雄太(26)との関係性についてリポートする。

◇  ◇  ◇

育成枠に相当するツーウエー契約をラプターズと結んでいた渡辺が、今月19日、本契約に至ったと発表された。日本人としては田臥勇太(当時サンズ、現B1宇都宮ブレックス)、八村に続いて日本人3人目。その知らせを聞いた八村は、「メンフィス(グリズリーズ)のときからツーウエー契約でやってきて、そのときに話をしていても『本契約、本契約』とずっと言っていた。どれだけ欲しかったか分かっているし、うれしい」。自分のことのように喜んだ。

最高峰の舞台で互いに刺激し合い、ときに肩を組みつつ歩んできた。後輩たちのためにも、さらに道を切り開いていく。「(渡辺選手は)僕より先にNBAに入っていて、先輩にあたる。僕もいろいろ聞いてきたことあった。そういうところでいろいろ助け合っている。僕らも切磋琢磨(せっさたくま)することで、これからも日本人としてNBAに入ってくる子がどんどんどん出てくれば」。

同様のことは渡辺も口にしていた。本契約を結んだ直後の会見で「僕や塁がプレーすることで、NBAをより身近に感じてもらえれば。僕はここで生き残るためにやっているが、結果として、子どもたちのモチベーションになれば」。2人が残す足跡は、次世代へとつながっていく。

プロ入りする前から、ともに異国の地で、互いの存在を意識しながら高め合ってきた。今年2月、八村は2人の関係性について「日本でバスケを盛り上げていくことを意識しながらやってきている。良い関係にあるんじゃないかと思います」と表現。「雄太さんのことは先輩としてすごく尊敬している」と、改めて敬意を表したうえで、冗談を言い合い、ふざけ合える仲であることも明かしていた。

両者がそれぞれ所属するウィザーズとラプターズは今季2度対戦したが、いずれもどちらかが故障離脱中で、直接対決は持ち越しとなってきた。レギュラーシーズン終盤にあたる5月6日(日本時間7日午前8時30分)には、もう1度対戦が組まれている。プレーオフの最後の2枠を懸けたプレーイン・トーナメント圏内を争う両チーム。“3度目の正直”で今季初の日本人対決が実現すれば、白熱のマッチアップが見られることだろう。【奥岡幹浩】