桐生祥秀(25=日本生命)は追い風2・6メートルの参考記録ながら、10秒01の好タイムをマークした。3組1着。決勝は予定通りに棄権した。

レース後は明るい表情で「中盤から後半を意識し、イメージ通りにゴールできた。このタイムで走れたことで、自信を持って臨める」。3位以内で五輪代表に決まる日本選手権(大阪・24日開幕)へ、いいイメージを持って入れる結果になった。それが何よりの収穫で、大きかった。

今季はうまくかみ合っていなかった。3月の日本室内選手権60メートルで左膝裏に違和感出て、決勝は棄権した。4月30日の織田記念も決勝は10秒30。さらに先月9日の東京五輪テスト大会ではフライングにより失格となった。マインドを切り替えて、今季の「初戦」と位置付けていた。

決勝を棄権したのは、2週間前に右アキレス腱(けん)に少し痛みで出ていたため。この1週間は「ほぼ走らず」で、ウエートなどを中心した調整をしていた。すでに東京五輪の参加標準記録は突破済みで、大事なのは日本選手権。「もう1本走って何かあったら困る。大事を取った」。大きな不安はない様子だった。自信を持って、連覇の懸かる運命の一戦へ進んでいく。