ショートプログラム(SP)首位発進の友野一希(23=セントラルスポーツ)がフリー2位の140・50点を記録し、合計229・49点で優勝した。大会名「げんさん」の由来である地元滋賀の「元三フード株式会社」からは優勝者に肉が贈られることが恒例で「今年も家族にすき焼きを提供できます」と表情を少し緩めた。

演技には悔しさがにじんだ。冒頭で4回転-2回転の連続トーループを成功。だが、続く4回転サルコーが2回転となり、2本目の4回転トーループも転倒した。

「最終滑走にふさわしくない演技をしてしまった。フリーもそろえるのが課題だった。滑り込みが足りなくて、フリーになるとボロが出てしまう」

それでも新フリー「ラ・ラ・ランド」に感情を込めた。切り替わる曲調に合わせて、全身を使った。過去に国内外多くの選手が使用してきたが「謎の自信があった。『ラ・ラ・ランド』が公開された時に(以前に)やった人はみんな思っていると思うけれど『これは僕の曲だ』と思いました。『友野くんのだよね』と言ってもらえるように、意識したいです」と志は高い。

4年前はシニア1年目で平昌オリンピック(五輪)シーズンを迎えた。18年世界選手権5位、グランプリ(GP)シリーズロシア杯3位など経験を積み、12月に3人の代表が決まる22年北京五輪へ懸ける思いは強い。

「以前も『五輪』っていうのを思っていたけれど、『チャンスがあるなら』だった。『自分が成長できるから、目指してみよう』という感じ。今度は実力、技術もついてきて『あとは結果を残すのみ』と思っています。今までの経験があって、気持ちの面で五輪に対する本気度が、全く違ったものになっています」

この春、同志社大を卒業した。スケートと向き合う毎日を過ごし、最高の結果をつかみ取る。【松本航】

◆北京五輪への道 男女シングル代表は3人ずつ。1人目は全日本選手権(12月、さいたま)優勝者。2人目は同選手権2~3位、グランプリ(GP)ファイナル上位2人、同選手権終了時点での国際スケート連盟(ISU)シーズンベストスコア上位3人から総合的に判断。3人目は2人目の基準に該当した上で漏れた選手、同選手権終了時点でのISU世界ランキング、シーズン世界ランキング各上位3人、日本スケート連盟強化部が派遣した国際競技会、同部が指定した国内競技会におけるシーズン最高技術点の上位2人から総合的に判断して選出される。