プロ野球からアメリカンフットボールに転向したWR石川雄洋(35=ノジマ相模原)が、Xリーグデビューでパスキャッチ1回を記録した。富士通とのX1スーパー開幕戦でベンチ入り。終盤に出場して24ヤードパスをキャッチし、チーム2本目のTDをお膳立てした。プロ野球は昨季で引退し、未経験から約2カ月の初陣で存在感を示した。

第4Qも残り時間3分2秒で、ノジマに最後の攻撃が回ってきた。石川に声がかかった。「行くぞ」。ついにWRとしてグラウンドに入った。3プレー目には見せ場がきた。左サイドから縦に走ると、QBカートからのパスが飛んできた。初キャッチ。24ヤードのゲインとなった。

「できることをやろうと。捕ったときは不思議な感じだった。フットボールをやってるんだと。カートがいい球を投げてくれた」。すぐにタックルを受けたが「そんな痛くもなかった」と笑みが浮かんだ。

石川のパスキャッチで敵陣深くへ攻め込んだ。3プレー後のラストプレーで、WR八木が9ヤードのTDパスをキャッチ。チームにとって2本目のTDへと結び付けた。城ケ滝ヘッドコーチは「真摯(しんし)に練習して、能力も高いものがある。活躍すると思っていた。100点に近い」と褒めあげた。

16年間プレーしたDeNAを昨季限りで引退し、5月に転向を発表した。まだある体力で新たな挑戦を決断。練習を開始したのは6月26日。2カ月あまりの練習で、ウエートトレの成果で体重は3キロ増の81キロとなった。

終盤まではベンチで試合を見守っていた。「野球は試合が毎日。1週間に1試合程度で、1試合にかける雰囲気に興奮した」という。「何から何まで初めてのことばかりで。これで流れは分かったので」と先を見据える。

DeNAでは主に背番号7でプレーしたが、新天地では80となった。WR担当の前田コーチと同じ。野球なら2軍の選手かコーチの背番号だが「格好いい」と気に入っている。

DeNAでは2年目に1軍初出場、3年目に初安打、4年目に初本塁打をマークした。「プロ野球でのデビューと感覚は似ている。ゼロからのルーキーなんで」と話す。新天地では早くもメンバー入り、開幕で初出場、初キャッチを達成した。次の目標はTDパスキャッチだが「チームのために役に立ちたい」と控えめだった。