世界の女子テニスツアーを統括し、女子選手組合の意味合いも持つWTA(女子テニス協会)は、彭帥(35=中国)の身の安全確保と、彼女が主張した性的な暴力への徹底究明の姿勢を貫く。

彭帥は、同国の張高麗元副首相に性的関係を強要され、不倫関係であったことを2日に自身のSNSで公表。その後、WTAは、彭帥と連絡が取れなくなったとして、14日、サイモンWTA会長は「徹底的な公正で透明な調査を求める」と声明を出していた。

WTAが連絡が取れない中、静観していたIOC(国際オリンピック委員会)が、突然に動いた。22日、バッハ会長が彭帥とオンライン通話を行ったと明かし、当時の映像も公開した。彭帥は「安全を心配してくれたIOCに感謝したい」と述べたという。そして、「北京の自宅で過ごしており、今はプライベートを尊重してほしい。大好きなテニスは続けていく」と話したという。

しかし、サイモン会長は、ロイター通信の取材に対し、「少し安心はしたが、我々は、どんな方法を取っても彼女に連絡を取ることもできなかった」。そして、「懸念は残り、彼女に対する性的暴力の調査を追及していくことに変わりはない」と、決して主張を曲げない覚悟を示した。

中国と対立することにより、WTAは多くの中国で開催されているツアー大会に、数億ドルとも言われる中国の巨大マーケットを失うかもしれない。しかし、サイモン会長は「これはお金などよりも大事な問題」として、徹底追及を求めている。